ジョシュ・ラニヨンのアドリアン・シリーズ第2作目。
読みやすくユーモアのセンスが光るボーイズラブミステリ小説です。
第一作目『天使の影』でアドリアンは、ジェイク・リオーダンと出合い
良い雰囲気になりますが、その後の二人の進展が丁寧に描かれています。
もし『天使の影』が未読の方は、まずそちらをお読みくださいね。
あらすじ
小説の執筆が思うように進まないため、
アドリアン・イングリッシュは、休暇をとって
祖母が遺してくれた田舎の牧場にやってくる。
そこで落ち着いて、執筆活動に取り組むつもりだったが、
思いがけず死体を見つけてしまう。
すぐに警察に連絡し、保安官に来てもらった。
しかし、その時にはなぜか死体は消えていた。
折しも牧場の敷地内では、昔の鉱山の採掘現場の発掘作業が行われていたため
大学から派遣された発掘チームが滞在し、人の出入りも多く
騒々しい状況になっている。
飼い犬の変死騒ぎもあり、迷信深いものは
昔のインディアンの呪いなのではと噂し始めた‥‥。
ふたまたラブとかどうなん?
「ホモセクシャルである自己を激しく憎悪している」
クローゼットなジェイク・リオーダンと
オープンリー・ゲイのアドリアン・イングリッシュのカプ。
ジェイクはLA市警の刑事で39歳。
アドリアンはLAで書店を経営している32歳。
心臓病の持病あり。
第一作目『天使の影』のラストでは、
結構良い雰囲気だった二人だけど、ジェイクが
かなりややこしい性格なので二人の関係はなかなか進展しません。
まずはジェイクが自分のセクシャリティを
認めることができないと、どうにもこうにもあきまへん(笑)。
なんせ、アドリアンに触れることもできないし。
しかも、結婚を考えている彼女までいるし!
前途多難とはこういうことを言うんじゃないかなw
これでボーイズラブとして成立するの?と背中に嫌な汗かきましたが
それでも、ジェイクは、死体を見つけて混乱しているアドリアンの
助けを求める声を聞いて、仕事を休んで牧場までやって来てくれました。
彼女になんて言い訳したんだろ?(^_^;)
しっかし、ジェイクがアドリアンのことを
「ベイビー」と呼ぶの、凄くセクシーやね(笑)。
アドリアンはそんなジェイクにベタ惚れみたいだし、
ジェイクもアドリアンのことが好きではあるみたいだけど
彼女との結婚はどうすんの?(^o^;)
その辺りがこのシリーズの醍醐味です!
アドリアンのユーモアに救われる
アドリアンは、傷つきやすい部分も持っているけれど
辛い出来事をふんわりとユーモアでかわすことができる人です。
彼のユーモアの例をあげると‥‥
夕方、牧場の家に戻ってきたジェイクを見て
「彼は日に焼け、雨に濡れて、うっすらと魚臭かった。とびきりセクシーだった。
おかしな話なのはわかってる」と言うアドリアン。
(これはアドリアンが魚の匂いフェチという
特殊性癖があるという意味ではなく、
ジェイクが釣りから帰ってきたので魚臭かったというオチwww)
また例えば、
「女じゃない」からお前にキスできないと言うジェイクに
「ばれたか」
と笑って返すアドリアン。
アドリアンのこういうユーモアセンスのおかげで、
読者もふたまたという辛い状況をげっそり深刻にならずに
受け止めることができます。
ネタバレ!!!(↓↓↓)
以下ネタバレを含みますので、ネタバレ大丈夫な方のみ
文字色を反転させてお読みくださいね。
結局、紆余曲折の末、ジェイクとアドリアンの二人は、おセッセまではどうにか辿り着きます。
でね、ここでおいしいサプライズ(?)がありましてね。今までずっとゲイである自分を受け入れられなかったジェイクはアドリアンが初めての彼氏で、愛情のあるキスやセックスは初めてだったという‥‥
えーーー!!! 初物ですか!!!
どんどんどん!!!パフパフパフ!!!
ジェイク40歳だよね?!
(この作品の中で誕生日を迎えて40歳になりました)
これまでセフレはいたけど、40歳で「初めて」彼氏とのキスとセックスですか!!!
ちょっとまてまてまて。
それ美味しくないですか?
サプライズ・プレゼントをありがとうーーー!!!
次のアドリアン・シリーズ第三作『悪魔の聖餐』も楽しみですね!
ま と め
連続殺人と、どうにもこうにもややこしい
ゲイ嫌いのゲイが登場するボーイズラブミステリ小説です。
主人公が楽天的なユーモアセンスがあるので救われます。
ふたまたラブが大丈夫な方はどうぞ。
※最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。