今回はジョシュ・ラニヨンの『フェア・ゲーム』をご紹介します。
気軽に読めて、ボーイズラブ要素もミステリ要素もしっかり楽しめる小説です。
30代後半、年齢層高めの主人公カプの落ち着いたテイストのBLはいかがでしょうか?
あらすじ
エリオット・ミルズはFBI捜査官でしたが、
仕事中に狙撃され負傷し退職することに。
退職後は大学で教職が就きますが、学園内で学生に失踪事件が発生。
エリオットは学長から捜索への協力を依頼されます。
そして、地元警察やFBIも加わっての捜索活動が開始されることとなり、
FBIからはタッカー・ランス捜査官が派遣されました。
タッカーとの再会に動揺を隠せないエリオット。
タッカーはエリオットのかつての同僚であり
恋人で酷い別れ方をした嫌な思い出があったのです。
一方タッカーは、エリオットとの再会に不愉快さをあらわにし‥‥。
FBI捜査官攻め × 手負いの元FBI捜査官
このカプに特徴的なのは、
仕事に関しての男のプライドが二人の関係に影を落としていること。
野心満々で出世街道まっしぐらだったのに突然負傷し、
現場での仕事を断念せざるを得なかったエリオット。
FBIの内勤への異動を検討することもできないほど失意の底にいました。
大学での教職に就いてからは気持ちの整理が次第にできてきたものの、
FBIと捜索活動を共にするとなると、
やはりまだまだ心理的古傷が痛む、そういう状況です。
年齢的にも30代後半と、古傷が癒えにくいお年頃なので(^o^;)、
気持ちの整理をつけるのが難しそう。
現場で活躍するタッカーを見ることで男のプライドがまたもチクチク痛みだす‥‥
そんなエリオットと、
そんなエリオットにどう接して良いか分からないタッカーが
元サヤに戻ることができるのか?それがこの小説の見所です。
アドリアン・シリーズのカプと比較して
ジョシュ・ラニヨンの他の作品と比較すると、
アドリアン・シリーズは攻めが警察官です。
アドリアン・シリーズの攻めはホモフォビアでゲイというややこしい男ですが
『フェア・ゲーム』のタッカーは、良くも悪くもストレートな性格。
かたや、アドリアン・シリーズの主人公アドリアンは
出世欲とか男のプライドとかに対する執着は希薄ですが、
『フェア・ゲーム』の主人公エリオットは、プライドにこだわるタイプ。
それぞれ作品の面白味が違うので、お好みで選んで読んでいただけたらと思います。
両方とも読みやすくて面白いボーイズラブミステリ小説です。
ミステリとしても普通に面白い♪
次々に発生する事件や暴かれる秘密など、中だるみのない構成になっています。
ちりばめられている伏線もラストですっきり回収されるし、
読んでいて楽しいミステリです。
個人的には失踪なんてするもんじゃないな、
隠しておきたいあれやこれやが、
色々ばれちゃうな(笑)と思ったりもしました(^o^;)。
ジョシュ・ラニヨンの性別は?最近のカミングアウト
巻末の解説には、ジョシュ・ラニヨンが男性である旨書いてあります。
でも、この解説が書かれた後に、ジョシュ・ラニヨン本人が自分が女性であることをカミングアウトしました。
なので、どうやらジョシュ・ラニヨンは女性のようです。
ま と め
筋書きのしっかりした、とても読みやすいボーイズラブミステリ小説です。
今回の殺人犯は、続編の『フェア・チャンス』にも登場するので、
もし良かったらそちらもどうぞ。
ただ、時系列的には、『フェア・ゲーム』と『フェア・チャンス』の間に『フェア・プレイ』があるので、
①『フェア・ゲーム』→②『フェア・プレイ』→③『フェア・チャンス』と
時系列に沿って読んでいく方が、主人公カプの気持ちに寄り添えると思います。
年齢高め(30代後半)の落ち着いた雰囲気のBLミステリ小説も、たまにはいかがでしょうか?
>ジョシュ・ラニヨンの他の作品と比較すると、
>アドリアン・シリーズも攻めがFBI捜査官です。
とありますが、あちらはロスの警察官ですよ。FBIじゃないです。
ご指摘、ありがとうございます。
本文、訂正させていただきます。