『ミッドナイトミートトレイン』クライヴ・バーカーのホラー小説感想

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クライヴ・バーカーの短編集。シリーズ「血の本」の一冊目。

「血の本」シリーズは、1985年世界幻想文学大賞、1985年英国幻想文学賞を受賞。

作品発表当時、スティーヴン・キングに「ホラー小説の未来を見た」と言わしめたシリーズ作品集です。

表題作「ミッドナイト・ミートトレイン」他、

「下級悪魔とジャック」

「豚の血のブルース」

「セックスと死と星あかり」

「丘に、町が」の合計5編を収録。

5編はそれぞれ独立した作品です。

グロテスクでユーモラスで、スタイリッシュで切ないホラーです。

日本での初版出版は1987年なので、もう図書館か古本屋にしかないと思うけど、滅茶苦茶素晴らしい本なのでご紹介します。

図書館等で見掛けた時は是非手に取ってみてくださいね。

とはいえ、非常に手に取りにくい表紙ではありますね(^_^;)。

新装丁で再販してくれたらなあ。

以下各短編ごとにネタバレなしで簡単にご紹介します。

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「ミッドナイト・ミートトレイン」

ニューヨークで地下鉄内連続殺人事件が勃発していた。

被害者は、血を抜かれ毛を剃られ全裸で電車の吊革に逆さ吊りされるのだ。

残業後の深夜、カウフマンは帰りの地下鉄に乗車した。

電車に揺られながらうとうとした後ふと目覚めると、

隣の車両で不審な物音がした。

好奇心に駆られてカウフマンが隣の車両を覗くと、

まさに今殺人犯が血生臭い犯行に及んでいる最中だった…。

クトゥルフ神話をスプラッタ風味にした感じかな。

グロテスクで血糊多め、いにしえの異形の生物への敬意と

美意識が感じられる神話的ホラーファンタジー小説です。

「下級悪魔とジャック」

おとぼけ下級悪魔と、

無神経でマイペースな人間とのユーモラスなドタバタコメディ小説。

上司の命令でつまらない小男にとりついた悪魔の爆笑悲喜劇。

「豚の血のブルース」

タイトルの通り血生臭い小説。

閉鎖的な少年院で起きた自殺と少女のように美しい少年との関係は?

新任教師が謎に迫る。サスペンス風お耽美ホラー小説。

「セックスと死と星あかり」

閉鎖を目前にしたイリジウム劇場。

有終の美を飾るため、かつての名女優が劇場最後の舞台に登場することになる。

しかし、彼女は何十年も前に若くして死んだのではなかったか?

彼女の蝋のような白く冷たい肌は死人のものでは?

ノスタルジックで切ない作品。

「丘に、町が」

ジャッドとミックはゲイのカップル。

ハネムーンで中央ヨーロッパをフォルクスワーゲンで旅行中。

ある田舎をドライブ中、二人は大砲のようなうなり声のような音を聞く。

音の正体を確かめるべく二人が向かった先で見たものは、

おびただしい数の死体の山だった。

その数約38,000人以上。二人は生存者に話を聞こうとするが…。

とにかく、クライヴ・バーカーの想像力に圧倒される短編。

ま と め

グロテスクでお耽美なホラー小説なら、

クライヴ・バーカーの「血の本」シリーズは外せません。

作品発表当時、スティーヴン・キングに「ホラー小説の未来を見た」と言わしめたシリーズ作品集です。

表面的な不気味さやただの即物的なスプラッタが売りの三文小説ではなく、

詩的で叙情的な想像力豊かな作品集です。

是非ご一読を(^^)

最後まで読んでいただいてありがとうございました。

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