『ペット・セマタリー』スティーヴン・キングの傑作ホラーの感想レビュー

スティーヴン・キング『ペット・セマタリー』

スティーヴン・キングは今や押しも押されもせぬホラーの帝王ですよね。

彼の素晴らしい作品は山程ありますが、

その中でも、私のイチオシは1983年発表『ペットセメタリー』です!

キングの作品の中で最も怖いと言われている小説です!

タイトルの「ペット・セメタリー」の意味はペットの墓地。

子供たちが作ったペットの墓地と

その奥にある古い秘密の墓地の物語です。

原作は、子供にありがちな綴りミスをわざと使ったタイトル

『pet sematary』になっているので、

日本で発売された小説のタイトル表記は

「ペット・セメタリー」(pet semetary)ではなく

『ペット・セタリー』になっています。

ただし、昔映画化されたときの映画タイトルの表記は

「ペット・セメタリー」になってました。

この小説、30年前に初めて読んだときは、

本当に切なくて悲しくて

グロテスクで怖くてマジで衝撃でした!

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あらすじ

スティーヴン・キング『ペット・セマタリー』

メイン州の田舎町に若い夫婦ルイスとレーチェル、そして二人の子供たちが引っ越してきます。

美しい自然に包まれた新天地でしたが

新居は大型トラックが頻繁に走行する道路に面しており

とうとうある日、不幸な交通事故が起きてしまいます。

子供たちが可愛がっていた愛猫チャーチが死んでしまったのです。

子供たちを悲しませたくない、そんな気持ちを隣人ジャドに打ち明けるルイス。

すると、ジャドは奇妙な提案をルイスにもちかけます。

普通の墓地ではなく、打ち捨てられた先住民の古い墓地にチャーチを埋めろと言うのです。

よくわからないまま、ジャドの言う通りにしたルイスは、次の日驚くことになります。

間違いなく死んでいたはずのチャーチが、よみがえって家に帰ってきたのです。

しかし、チャーチはもう以前のような穏やかで優しい猫ではありませんでした。

気性が荒く攻撃的になっていただけでなく、腐ったような匂いがしています。

そして、やがて第二の不幸がルイス一家を襲います。

今度は息子ゲージが巨大なトラックにひかれて死んでしまいます。

最愛の息子を失うという残酷で理不尽で痛ましい現実を

受け入れられず、次第に狂っていくルイス。

彼は医者で仕事柄「死」が身近な存在であったはずなのに、

自分の息子の死は受け入れられず、

死別の苦しみが彼から理性を奪っていきます。

そして、とうとうゲージを生き返らせる方法を考え始めます。

ある夜、ルイスはゲージが埋葬された墓地に出掛け、墓を掘り返し始めます‥‥。

表現力の豊かさとリアルさが魅力

キングの強みは、表現力の豊かさとリアルさ。

本当に肌で読む小説です。

だからグロテスクさもひとしお。

この小説が発表された30年位前はキングの評価がまだまだ低くて、

低俗だとか残酷だとか言われてて、

アメリカで図書館にキングの小説を入れることに、

PTAが反対してると、どこかで読んだけど、

まあ、それも少し分かるよね~という残酷さなのです(^_^;)

キングの作品の中でも一番怖い!

『ペット・セマタリー』は、初稿を読んだタビサ・キング(キングの奥さん)が「残酷過ぎる」と評して、発表を見合わせていた作品です。

発表に際して、いくつかの残酷シーンが削除されました。

例えば、ルイスがゲージの遺体を抱き締めたときにゲージが腐敗臭のするゲップをしたシーン。

想像するだけで怖いですが、残酷シーンが削除され出版された小説も充分怖いです。

小説の根底にあるのは深い愛情

キングの作品の表面的な恐ろしさの根底には、深い愛情があります。

この作品『ペット・セマタリー』も例外ではありません。

ルイスの狂気の根元は、息子に対する父親の愛情。

「地獄への道は善意でできている」と言いますが、まさその通り。

愛情が狂気を産む、その不条理さと悲しさが、『ペット・セマタリー』の魅力になっています。

その愛情の部分も、じっくり感じていただけたら良いなあと思います。

1989年公開映画「ペット・セメタリー」

キング自身の脚本でメアリー・ランバート監督で制作されました。

キングも牧師役でゲージの葬儀のシーンにちょっぴり出演しています。

原作に忠実なストーリーになっているし、キングの脚本なので、原作ファンも安心して鑑賞できます。

原作ファンなら、2019年にリメイクされた映画より1989年の映画をオススメします!

1989年映画のメインキャスト

  • ルイス:デイル・ミッドキフ(野島昭生)
  • ジャド:フレッド・グイン(加藤精三)
  • レーチェル:デニーズ・クロスビー(吉田理保子)
  • エリー:ブレーズ・バーダール(林原めぐみ)
  • ゲージ:ミコ・ヒューズ(あきやまるな)
  • パスコー:ブラッド・グリーンクィス(山寺宏一)

2019年リメイク映画「ペット・セメタリー」

ちなみに最近の話題では、この作品が再び映画化され2020年に日本公開されました。

でも、今回の映画は小説とはストーリーが違います。

例えば、小説の中では死ぬのは息子ゲージだけど、

映画の中では娘になってるし。

まあ、小説は小説、映画は映画で楽しみましょう♪

一粒で二度と美味しいってことですね。

2019年映画のメインキャスト

括弧内は日本語吹替声優です。

  • ルイス・クリード:ジェイソン・クラーク(小山力也)
  • レーチェル・クリード:エイミー・サイメッツ(魏涼子)
  • 子供時代のレーチェル:ソニア・マリア・キリーア
  • ジャド・クランドール:ジョン・リスゴー(福田信昭)
  • エリー・クリード:ジュテ・ローレンス (下地紫野)
  • ゲージ・クリード:ヒューゴ・ラヴォイエ、ルーカス・ラヴォイエ(久野美咲)

2019年映画と小説の違いネタバレ!

以下はネタバレを含みます。ネタバレ大丈夫な方のみ文字を反転させてお読みください。

小説のクライマックスは‥‥

小説では、ゲージの墓を暴いた父親ルイスは、インディアンの秘密の墓地に遺体を埋めて、ゲージを生き返らせます。

ところが、生き返ったゲージはかつての愛らしい息子ではありませんでした。

それでも、両親はゲージを抱き締めますが、邪悪な霊が宿ったゲージは母親レーチェルを殺害。

それを知った父親は、ゲージの首を締め、今度こそゲージを永遠に眠らせます。

そして、次にルイスが取った行動は、インディアンの墓地に死んだレーチェルを埋めることでした。

やがて、レーチェルが生き返りルイスの所に戻ってくる場面で小説は終わりです。

映画のクライマックスは‥‥

2019年の映画では、先述の通り、交通事故で死んだのは息子ではなくて、娘エリーです。

エリーの墓を暴いた父親は秘密の墓地にエリーを埋めて、彼女を生き返らせます。

しかし、エリーの母親レーチェルは生き返った娘を拒絶。

エリーに殺されます。

エリーは死んだ母親を秘密の墓地に埋めて生き返らせ、生き返った母親はルイスを殺害。

生き残ったゲージが生き返った両親と姉エリーを見つめるシーンで映画は終わりです。

死んだ子どもを諦められない親の愛情が小説のテーマでしたが、映画では、死んだ子どもを諦められないのは父親だけで、母親はその死を受け入れている内容になっていました。その点が大きな違いですね。

まとめ

スティーヴン・キングの傑作ホラー『ペット・セマタリー』は、

リアルな恐怖が肌で感じられる小説です。

数あるキングの作品の中でも、トップレベルの逸品です。

ホラー好きなら、読まないのは勿体ないですよ~。

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※最後まで読んでいただきましてありがとうございました。








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