『牛泥棒』木原音瀬の明治時代の主従BLのあらすじ、感想レビュー

牛泥棒

木原音瀬2007年発行『牛泥棒』をご紹介します。

本のタイトルは全然ボーイズラブっぽくないですが、

きっちりボーイズラブ小説ですw

時代は明治初頭、人にとって妖怪が身近な存在だった頃の物語。

妖怪や物の怪がたくさん登場しますし

レトロで和風なしっとりしたテイストも楽しめます。

本編「牛泥棒」の他、番外編「古山茶」「笹魚」の2編を収録しています。

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あらすじ

明治初期、まだ人と妖怪がごく身近に暮らしていた頃、

田舎の造り酒屋の6歳の息子、亮一郎が危篤になった。

酒屋の使用人の子、徳馬は屋敷の屋根の上に白い蛇を見つける。

その白蛇は人の命を食らう妖怪であった。

なすすべもない徳馬であったが、亮一郎の母が身代わりになることで

亮一郎は一命をとりとめる。

やがて、長じて大学の助手となった亮一郎は

徳馬とともに田舎を出て東京で暮らしていた。

子供の頃から徳馬と共に育ち、

徳馬がいないと身の回りのこともままならない亮一郎。

亮一郎にとって、徳馬はずっと自分の側にいて当然の存在だった。

しかしある日の夜、徳馬から突然暇乞いの申し出があった‥‥。

我が儘なお坊っちゃま × 口のきけない控え目な使用人

ジャンルということで言うと、主従ものになるのかな。

とにもかくにも、いつも控え目で従順な徳馬がメチャクチャいじらしいんです。

で、ですね。ぶっちゃけ

この作品の中で一番心を鷲掴みにされたのは、

徳馬のふんどし事情でしたね(爆)。

ネタバレしたくないので、詳細は伏せますが、

「徳馬のふんどしが全部持っていった」

と言っても過言ではありませんのよ(笑)。

妖怪と共に暮らす豊かな世界観

作品の中では、妖怪たちは目に見えないだけで普通に人と一緒に暮らしています。

徳馬だけはいわゆる「見える」人で、自分の手の中に鬼を飼っています。

妖怪は時に人の道案内をしたりして、お互いに協力関係にあるときもあるんですが

でも一方で、人の命を食らう妖怪もいる…

そんな色々な妖怪たちと共に、互いに影響を受けながら人間は生活している、

そんなイメージ豊かな世界観です。

同時収録番外編「古山茶」「笹魚」は、箸休め的可愛い短編

本編のその後のメインカプを描いた微笑ましい短編です。

どちらかと言うと、「笑い」に寄せたラブコメになっています。

「古山茶」は亮一郎の勤める大学の職員に物の怪が取りつくストーリー。

「笹魚」は山にお花見に行く物語で、箸休めのような小編です。

ま と め

主従カプが主人公の、レトロな味わいの和風ボーイズラブ小説です。

妖怪など人外が登場するファンタジーでもあります。

お坊っちゃま育ちで直情短気な攻めも尊いし、

受けの使用人の徳馬がメチャクチャいじらしくて暴れたくなります!

何度も読み返したくなる趣のある素敵な作品です。

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