2021年10月、ぴしん(Sinto)が短期出家しました。
ぴしん以外にも、Tulくん、EarthくんやWhiteくんなど多くのタイの俳優さんが短期出家の経験があります。
・「タイの短期出家ってなに?」 ・「短期出家ってどんなことするの?」 |
そんな疑問はないですか?
日本に住んでるとあまり馴染みのない短期出家について、少し調べてみたのでシェアします。
■この記事でわかること |
・タイの短期出家の概要 ・儀式の様子 ・出家中のタスク ・オタクにできるサポート |
タイの短期出家とは
タイでは仏教が盛んで、一般人でもしばらくの間出家することが社会的に推奨されています。
会社によっては「出家休暇」の制度もあるそう。
出家の目的はタンブン(徳を積むこと)のため。
本人の人間的成長と親孝行、社会貢献などを目指します。
日本だと、一度出家するとめったなことでは還俗できないイメージがありますが、タイでは成人男性が短期間だけ出家することはよくあること。
近年は本格的な短期出家もあれば、観光客を相手にしたゆるめの短期出家もあります。
「まちの出家」と「森の出家」
短期出家をざっくり大まかに分類すると、「まちの出家」と「森の出家」があるそうです。
「まちの出家」はバンコクなどの市街地のお寺での出家。
比較的楽です。
「森の出家」は人里離れた森の中で行うガチで過酷な出家。
上下水道も電気もなし。
巨大なヤブ蚊やトカゲ、ヘビなどと一緒に暮らし飢えと戦うサバイバルな苦行そのもの。
今回は、「まちの出家」をご紹介します。
「森の出家」については、こちらからどうぞ。
歴史的背景
リタイ王(在位1347年? – 1368年?)は衰えて行くスコータイ王朝を仏教思想で立て直そうと、タイ族の君主として初めて出家を行い、タンマラーチャー(仏法王)と名乗った。リタイの出家、およびタンマラーチャーの思想は、王権を高める上で非常に有利であった。さらに、この出家の習慣は初期は王が行っていたが、後には民衆にも伝播し、タイ族の男子は成人すると必ず出家すると言うのが暗黙の義務になっていった。
引用:wikipedia
出家できる人
宗教的に罪のない成人男性。
ただし、扶養家族のある男性は出家を推奨されません。
また、タイ国内では女性は出家できません。
女性は出家する人や僧侶をサポートするのが望ましいとされています。
出家の期間
出家の期間は様々。
数日〜1年以上などなど、お寺や個人の要望により自由に選べます。
もし1ヶ月の予定で出家したとしても、諸事情や本人の希望などで出家期間を延長したり、短縮したりもできるそう。
例えば、今回のぴしんは、期間を決めずにお寺に入りましたが、結果的に一週間で還俗しました。
出家の時期・タイミング
伝統的には雨季(6月〜数カ月間)。
理由は農作業がお休みの時期だから。
ただし、最近は雨季にこだわらない傾向あり。
観光客相手の出家は時期を選ばないお寺もあります。
結婚前の短期出家
結婚が決まった男性が結婚式の前に短期出家することもあります。
「出家して初めて一人前」という認識もあるようです。
親のお葬式でも短期出家
親の葬儀に際して一時的に出家することもあるようです。
目的は供養のため。
刑務所から出所したあと
罪を償うため。
出家の儀式
日本だと、出家はひっそり静かに行うイメージがあります。
でもタイではお祝いであり、お祭りです。
出家の日取りが決まると、お世話になった方々にご挨拶と招待のカードをお渡しします。
ぴしんも型通り「今までの罪をお許しください」と挨拶まわりをしてました。
これって、これまでの罪を謝罪してきれいにならないと出家できないからなんだそう。
出家の儀式当日は、大人数を巻き込んだ規模の大きいお祝いになります。
タイの出家で特徴的なのは、タムクワン儀式。
出家の儀式は、俗人→僧という単純な構図によって行われるのではなく、俗人→タムクワン儀式→僧という段階を伴うものである。
まず第一段階としてタムクワン儀式が行われる。タムクワン儀式とは黄衣を着る前に、白い服を着、宗教的儀式を経てピー(精霊)を入れ、髪を落とすという一連の儀式である。タムクワン儀式にはタイ族が仏教を信仰する以前のピー信仰(精霊信仰)の名残があると言われる。この期間における出家志望者は俗人とも、僧ともつかぬ状態であると定義できる。
タムクワン儀式における最後の儀式としては、パーリ語の経文を唱えることである。この経文の暗唱が終われば無事黄衣を着ることを許されサンガに入るのである。
引用:Wikipedia
白い衣装や儀式の詳細はお寺や地方によって違うみたい。
例えばぴしんは質素な白のお召し物だったけど、EarthくんやType(Gulf)はキラキラした感じの衣装でした。
どちらも尊い。
タムクワン儀式の時、行列をつくってお寺のまわりをぐるっと3周回ります。
その時、大きな花を持つのは母親。
枕を持つのは出家者の恋人や妹などの近親者。
「TharnType2」ではTharn(Mew)が枕を持ちました。
Tharnが枕を持つのを許したことで、Typeのお父さんはTharnをTypeの恋人として認めたことになりました。
ぴしんが出家すると聞いたとき、オタクの中のマーラ(悪魔)が
「枕を持つのはクリスで決まりや!」
と叫びました。
が、クリスはキリスト教信者なので出家式には参加できませんね(問題はそこか?)。
さて、行列が終わったら、参列してくれたみんなにプロイターン(きれいに包んだ小銭)をまきます。
出家するとお金は必要なくなるので、お礼の意味も込めて参列者にあげるんですね。
それが終わったらお寺に入ります。
暗唱したお経をとなえ、僧侶の黄衣と宅鉢用の鉢、戒名(法名)をもらって僧侶となります。
Singtoの戒名(法名)
出家期間中にすること
- 瞑想
- 托鉢:僧侶は食事をつくることを禁じられているため
- 清掃
- 勉強:読経など仏教の教えを学びます
- 戒律を守る:宗派によって違いあり
出家期間中の近親者のサポート
出家期間中、近親者は生活用品などの差し入れを持っていったり、面会したりできます。
上のツイートの写真のとおり面会するときは、出家者は俗人より一段高い場所に座ります。
ぴしんのお父さんは托鉢に一緒に行って手伝ったりもしてました。
それもありなんやね〜。
オタクができるサポート
今回のぴしんの例では、ファンは出家の儀式で使うプロイターン(小銭を包んだもの)を差し入れすることができました。
もし出家式に参加してプロイターンをもらう立場になった場合は、お守りにしたり、別の出家式の時に寄付したりするのがいいそうです。
オタクが気をつけること
ファンは推しの出家期間中は、出家者に敬意を払ってできるだけ仏教の教えを尊重した清廉な生活を心がけたいですね。
特に肌色な感じの創作活動は控えた方がいいかも?(笑)
還俗
日本だと、一度出家するとめったなことでは還俗できないイメージがあります。
が、タイは結構自由です。
還俗するときは先輩の僧侶に相談→お寺の許可を得ての還俗になります。
▲還俗したぴしん。お疲れ様でした。
ちなみに、ぴしんが今回出家したお寺は、「パー二ターラーム寺院 (วัดผาณิตาราม)」というバンコク市街地からちょっと離れた寺院だそうです。
還俗したSingtoからのメッセージ
まとめ
今回はタイの短期出家についてまとめました。
タイの成人男性は、親孝行のため、人間的成長のため、社会貢献のため、短期で出家することがあります。
出家は、社会的にも推奨されていて、出家して初めて一人前という認識もあるよう。
日本とは違う仏教文化、興味深いですね。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
参考にさせていただいた資料
・べとまる
貴重な情報をありがとうございました。