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『血と暴力の国』ピュリッツァー賞受賞作家マッカーシーの小説の感想

『血と暴力の国』コーマック・マッカーシー

現代アメリカ純文学の代表的な作家の1人、コーマック・マッカーシー。

彼は『すべての美しい馬』で全米図書賞と

全米書評家協会賞を受賞した才能ある実力作家です。

2007年には『ザ・ロード』でピューリッツャー賞も受賞しました。

彼の作品は非常に美しくストイック、哲学的で詩的で深い味わいがあります。

今回ご紹介する2005年発表の『血と暴力の国』は、

そんな彼の作品の中で最も読みやすい作品です。

コーマック・マッカーシーを読んだことがないとか

彼の別の作品を読もうとしたけど難解で挫折したという方には

特にオススメです。

さくっと読める大衆向けのサスペンス、犯罪小説です。

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あらすじ

退役軍人ルウェリン・モスは偶然麻薬密売人の殺害現場に遭遇し、

思わぬ大金を見つけてしまいます。

とっさに大金を持ち逃げしてしまうモスでしたが

瀕死の男に水を飲ませるため現場に戻ったことで

殺し屋に命を狙われることに。

先の見えない絶望的な逃避行を続けるモスを追うのは、

殺し屋アントン・シュガー。

シュガーは彼独特の哲学を持った死神のようなでしたが‥‥。

心理描写がないストイックな文体

コーマック・マッカーシーの文章はいつも心理描写がありません。

なので、非常にドライなテイストになっているんですが

その分、会話が粋で奥行きがあります。

ジャック・ロンドンの動物ものと共通する洗練されたセンスを感じます。

マッカーシーの文体にハマる人も多いです。

旅の途中で出会う人々多様性

マッカーシーの小説は、他の作品もそうですが、旅がひとつのテーマです。

モスとシュガーは旅の途中で様々な人々に出会います。

家出少女やマフィア、交渉人、モスの妻などなど。

皆それぞれ自分の人生があって、それぞれの理念があります。

それがこの小説に多彩性を与えています。

死神アントン・シュガーの魅力

シュガーは、「生きた破壊の預言者」で

「ユーモアを解しない」男で「原理原則を持っている」人間です。

彼に「情」はありません。

「その原理原則は金や麻薬といったものを超越して」いて、

「特例を許容しない」、ある意味現世を超越した存在です。

常識とか、通常人間が持っている一般的普遍的なルールを持っていません。

2004年スティーヴン・キング製作総指揮のテレビシリーズ

「キングダム・ホスピタル」に登場するアリクイ

( 見た目は、長い鼻先と鋭い歯が並ぶ大きな口を持つオオアリクイに

似た生き物で、形而上的存在)にちょっと似てるかな(笑)。

シュガーはアリクイみたいにかわいくはないけど、

怖いのに憎めないところが似てる。

シュガーもアリクイも人に死をもたらすので恐ろしい存在ではあるけれど、

でも何故か、どこか惹かれるところがあります。

なぜでしょうね。

煩わしい現世のあれこれに縛られないからでしょうか。

同時平行で語られる父と息子のストーリー

モスの逃避行と平行して語られる保安官の語りがあります。

保安官はモスの事件を追いながら、

自らの過去に遡り家族のことなどを語っていきます。

これが逃避行とはまた別のひとつのドラマになっています。

深い意味で、マッカーシーの次の作品『ザ・ロード』にも繋がる

父と息子のストーリーとなっていて興味深いです。

幻想的、神話的な美しさ

大金を盗んで逃避行するというとても俗世的なストーリーですが

随所に見られるメタファーはとても詩的で幻想的です。

例えば、ラストに保安官の父親が持っている「牛の角の中に火を点した」灯り

この「月の色をした」灯りのイメージ、とても綺麗だと思いませんか?

『血と暴力の国』は、幻想的な美しさを内包しています。

ま と め

『血と暴力の国』は、深い余韻に浸れる非常に美しい小説です。

マッカーシーの入門書として読みやすいサスペンス作品になっています。

是非ご一読ください。

そして、もし気に入っていただけたら

ちょっと読みにくいかもしれないけれど、マッカーシーの超絶美しい作品

『越境』にチャレンジしてみるのもオススメです。


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