
今回は、2016年、ジュン・ロブレス・ラナ監督の「ダイ・ビューティフル」をご紹介します。
原題は、「Die Beautiful」。
トランスジェンダーが主人公のフィリピンのコメディ映画です。
2016年東京国際映画祭観客賞、主演男優賞、
メトロ・マニラ映画祭主演男優賞、助演男優賞、Float賞、観客賞など多数受賞しています。
あらすじ
トランスジェンダーのトリシャは、ミスコンのステージ上で倒れ、そのまま亡くなりました。
トリシャの友人たちは遺言に従って、埋葬までの間トリシャに豪華な死化粧を施します。
お悔やみにやってくる友人、知人たちは生前のトリシャの思い出を語り、賑やかにトリシャを見送ります‥‥。
映画のメインキャスト
- トリシャ・エチェバリア:パオロ・バリェステロス
- バーブス:クリスティアン・バブレス
- トリシャの父:ジョエル・トーレ
- トリシャの姉ベス:グラディス・レジェス
- ジェッセ:ルイス・アランディ
- ミッグス:アルビー・カシーニョ
フィリピンの葬儀の方法
映画では、トリシャのお葬式のシーンがたくさんあります。
日本とはかなり習慣が違う部分もあるので、フィリピンのお葬式について少し調べてみました。
日本では、お通夜とお葬式合わせて大体2日間位ですよね。
でも、フィリピンだと一週間から1ヶ月以上かけることもあるそうです。
理由は、遠方から葬儀のために帰ってくる親戚や友人を待つため。
結構長丁場ですね。
トリシャのお葬式は一週間でしたが、フィリピンでは標準的な期間と言えるようです。
また、映画では弔問客が棺に横たわるトリシャの写真をたくさんとってましたが、これもフィリピンでは普通のこと。
友人や親戚に見せるために、写真をFacebookやSNSにアップすることも多いそうです。
そして、日本のようなしんみりしたお葬式ではなくて、亡くなった人が寂しくないように、ワイワイ賑やかなお葬儀をするそうです。
服装も日本のように黒限定ではなく、赤色以外なら、普段の服装でもドレスでも大丈夫なようです。

ゴージャスなメイクとドレスでお葬式
生前のトリシャとバーブス(トリシャの親友のトランスジェンダー)が、お葬式について話すシーンがあります。
死んだら、生まれた時の姿に戻って男の姿で埋葬してほしいというバーブス。
一方トリシャは、最後まで女性として着飾っていたいと言います。
「神様に、『あなたからの贈り物の体をこんなに綺麗にしてあげたわよ!』って言いたいの」
と言います。
そのセリフに彼女の強さとアイデンティティと誇りを感じました。
心に響く良いセリフですね~。
そして、バーブスはトリシャの気持ちを尊重して、トリシャの言葉通りのお葬式をしようと奮闘します。
なんと、男として葬儀を行うというトリシャの父親の元から遺体を盗み出しちゃいます。
トリシャのお葬式は7日間です。
その間、日替わりでセレブ風のメイクをします。
ビヨンセ風、レディ・ガガ風、アンジェリーナ・ジョリー風‥‥ドレスも毎日変えてゴージャスに装います。
トランスジェンダーの友達が集まって、賑やかで華やかなお葬式‥‥こういうお葬式も良いものですね。
このお葬式なら、トリシャも寂しくないですよね。
差別やレイプなどの重いテーマも
コメディタッチで描かれている映画ではありますが、差別やレイプなどの悲惨な事件も描かれています。
そもそもジュン・ロブレス・ラナ監督がこの映画を作るきっかけになったのが、トランスジェンダーの殺害事件だったそう。
トランスジェンダーへの理解が広がって、トランスジェンダーが安全に暮らせる世界になりますように祈らずにはいられません。
ネタバレ
以下はネタバレなので、ネタバレ大丈夫な方のみ文字を反転させてお読みください。
映画の後半、トリシャを大切にしてくれる優しい彼氏ができます。
奥さんはいるけど(汗)、優しい人に出会えて良かったねと思っていたら、この彼氏、学生時代にトリシャをレイプした犯人の一人だったんです。
これはちょっと受け止めるのが重い‥‥重すぎる。
彼の優しさは罪悪感からくるものだったのかな。
私だったら許せないけど、相手は余命幾ばくもない重病人だし、許せないとも言うのも辛い‥‥なんともヘビーな展開でした。
まとめ
「ダイ・ビューティフル」は、トランスジェンダーが主人公のユニークで、ビターなコメディ映画です。
重くて残酷な事件も描かれているけど、その残酷さに屈しないトリシャのしなやかさと強さが、映画を見る人に勇気と元気をくれます。
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