

スティーヴン・キングの人気ホラー小説『シャイニング』は、ご存じでしょうか?
もうすでに 読んでいらっしゃいますか?
『シャイニング』を既読の方には、2013年発表の『ドクター・スリープ』をオススメします。
2013年ブラム・ストーカー賞小説部門受賞を受賞した秀作ホラーで、『シャイニング』の続編です。
『シャイニング』の惨劇を生き延びた、超能力をもった子供がその後どうなったのか、気になりませんか?
『シャイニング』から36年後の物語。
『シャイニング』時点で5歳だったダニーは
『ドクター・スリープ』では41歳。
ホスピスで働き、死を前にした人々を支える仕事をしています。
『シャイニング』未読の方は、まず『シャイニング』をお読みください。
『シャイニング』はキングの若い頃の作品で、本当に力強さと勢いがある素晴らしい小説です。
『シャイニング』の紹介記事はこちらです。
今回このページでは、『ドクター・スリープ』をご紹介したいと思います。
小説のあらすじと魅力、映画のメインキャストや、小説と映画の違いなど、配信サービスについてお伝えしたいと思います。
あらすじ
アルコールに溺れるダン・トランスは、なんとか人生をやり直そうと、ニューハンプシャー州アニストンという小さな町に流れ着きます。
かつての「シャイニング(輝き)」は、ダンから遠ざかり、時折ちらっと見える程度になっていました。
アニストンのホスピスで看護助手として雇われたダンは、死にゆく人々を助ける仕事をしています。
ある日、ダンは精神を使って自分にアクセスしてくる少女の存在に気づきます。
そして、その少女から邪悪な存在によって殺された少年の遺体を探すように頼まれますが‥‥。
テーマは「怒り」
デビュー作『キャリー』以降、キングは繰り返し「怒り」をテーマに小説を書いています。
『ファイアスターター』も『クリスティーン』も『シャイニング』もそう。
そして、『ドクター・スリープ』も「怒り」がテーマのひとつになっています。
「怒り」はパワフルですが、弱点にもなります。
上手に怒りをコントロールできるかどうかが、主人公たちが生き残るための鍵になっています。
トゥルーノットの家族的繋がり
主人公ダンは、超能力を持った子供たちを殺す悪霊たちの集団、「トゥルーノット」と戦うことになります。
集団のリーダーは、ローズという女性。
彼女を中心に、長い間団結して生きてきたひとつのコミュニティです。
たくさんのキングの作品の中で、『ドクター・スリープ』が特異的な点は、悪霊たちの集団が家族的な絆で結ばれているところです。
それが、この小説に深みを与えていると思います。
「ドクター・スリープ」DVD特典映像のインタビュー でのキングの言葉、「愛がないところにホラーはない」が心に染みます。
2019年マイク・フラナガン監督・脚本で映画化
『ドクター・スリープ』は、マイク・フラナガン監督・脚本、ユアン・マクレガー主演で映画化されました。
152分の長編映画です。
メインキャスト
- ダニー(ダン)・トランス: ユアン・マクレガー(森川智之)
- 幼少期のダニー・トランス :ロジャー・デール・フロイド(佐藤美由希)
- ローズ・ザ・ハット :レベッカ・ファーガソン(皆川純子)
- アブラ・ストーン : カイリー・カラン(合田絵利)
- 幼少期のアブラ・ストーン – ダコタ・ヒックマン
- ビリー・フリーマン : クリフ・カーティス(白熊寛嗣)
- ディック・ハロラン: カール・ランブリー(麦人)
- クロウ・ダディ :ザーン・マクラーノン(桐本拓哉)
- スネークバイト・アンディ :エミリー・アリン・リンド(種市桃子)
※Wikipediaを参考にさせていただきました。
映画と小説の違い
小説『ドクター・スリープ』を映像化したというよりは、ジャック・ニコルソン主演の映画「シャイニング」の続編を作ったという方が近い映画です。
映画の前半は、小説『ドクター・スリープ』のテイストにかなり忠実ですが、後半は全く違います。小説の登場人物を使いながらも、小説とは違ったストーリーになっています。
以下はネタバレを含みます。ネタバレ部分は白文字にしてあるので、ネタバレ大丈夫な方のみ文字を反転させてお読みください。
例えば、小説ではダンもビリー・フリーマンもアブラの父親も最後まで生きていますが、映画ではこの3人はみんな死んでしまいます。
ハロランが子どものダニーにプレゼントを渡すシーンでは、小説ではハロランは生きています。
しかし、映画「ドクター・スリープ」では、前作映画でハロランは既に死亡しているため、幽霊となっています。
また映画では、ダンとアブラの血縁関係については触れていません。
アンディの年齢や、野球少年の死亡時期も小説と映画では異なっています。
あと、気になったのは、ローズのシルクハットです。
トレードマークのシルクハットが、映画では改変されています。
小説を読んだとき、幻想的でマジシャンを連想させるメタファーとして秀逸だなあと思っていたので、改変は残念です。
個人的には、原作の良さを損なっている部分も散見され、キューブリックのような突き抜けたセンスの良さも感じられないので、今一つな感じのする映画でした。
でも、DVDの特典映像を見ると、スティーヴン・キング は映画に好意的な発言をしていたし、Wikipediaによると、タランティーノ監督も高評価しているということです。
152分という長い尺なので、お時間のある時にどうぞ。
ジャック・ニコルソン主演映画「シャイニング」の続編
前述のとおり、映画「ドクター・スリープ」は、前作のキューブリック監督の映画「シャイニング」を意識した内容です。
ダンの両親役にもジャック・ニコルソンとシェリー・デュヴァルによく似た役者を起用。
オーバールックホテルの内装を忠実に再現。
237号室の夫人や、双子の幽霊、ホテルの前管理人ロイドもそっくりにリメイク。
映画「シャイニング」のファンには、嬉しいシーンも多いです。
アマゾン・プライムビデオ、U―NEXTなどで配信中
■1ヶ月間無料で試せるアマゾン・プライムのメリット、デメリット、申込手順などはこちらです。
既にアマゾン・プライムに加入済みの方は、下(↓)のリンクからどうぞ。
■無料お試しあり、動画配信サービス6社の比較記事はこちら
まとめ
スティーヴン・キングのリアルな恐怖がじっくり堪能できる長編ホラー小説『ドクター・スリープ』。
伝説的なホラー小説の名作『シャイニング』の続編です。
超能力を持った子どもがどんな大人になったか読むことができます。
父親と同じ過ちを繰り返しながらも、立ち直ろうとする姿が同情をよびます。
そして、内省的であるだけでなく、エンタメとしても十分面白い小説です。
『シャイニング』を読んだことのある方は、一度手にとってみてはいかがでしょうか?