今回は、悪霊が巣くうホテルを描いたホラー小説はいかがでしょうか?
幽霊屋敷を描いた小説は世に沢山ありますが
スティーヴン・キングの有名な幽霊屋敷ものは、
『ブラックハウス』と『シャイニング』。
『ブラックハウス』はピーター・ストラウブとの共著なので
キング節を純粋に楽しめるのは、『シャイニング』です。
今回は、スティーヴン・キングの初期の作品『シャイニング』をご紹介します。
背筋が凍る恐怖をがっつり楽しめますよ。
あらすじ
主人公ジャック・トランスの息子ダニーは、
シャイニング(=輝き)を持っています。
小説中で言う「輝き」とは、幽霊が見える力のこと。
ジャックは息子ダニーと妻と共に
冬季閉鎖中のホテルに滞在することになりますが、
そこで彼らを待ち受けていたのは、
強大な力を持つ邪悪な悪霊たちでした……。
主人公ジャックのアルコール依存症
スティーヴン・キングは、若い頃アルコール依存症だったそうです。
この作品はそんな彼の経験が生かされた作品です。
別の本の中でキングは
「アルコール依存症の人間に酒を飲むなと言うのは
酷い下痢に苦しんでいる人間に『出すな』と言うようなものだ」
と言ってますが、
何と素晴らしい表現でしょう!(笑)
アルコール依存症から抜け出すことの難しさがよく分かりますよね!
人生長く生きてると本当に自分でもどうしようもなく、
なす術もなく墜ちていく時期ってあるよなあ~と思います。
経済的に行き詰まり自分を信じることもできず、
でも、家族は養わなければならず…
強いストレスに苦しんでついついアルコールに救いを求めてしまう…
アカンやろとは思いますが、
辛いときに救いを求めたくなる気持ちはよくわかりますよね。
『シャイニング』は人間の弱さに対する
キングの優しさが感じられる小説です。
スタンリー・キューブリック監督、 ジャック・ニコルソン主演の映画「シャイニング」
小説『シャイニング』は何度も映像化されています。
有名なのは、1980年のスタンリー・キューブリック監督
ジャック・ニコルソン主演の映画「シャイニング」。
とにもかくにも、
お父さん役のジャック・ニコルソンが強烈でした。
怖すぎます(笑)
お母さん役の女優さんも顔が怖い(^^;
そして、大量の血糊の奔流。
視覚に訴える不気味さがてんこ盛り。
双子の女の子のシーンもゾッとします。
(この双子のシーンは
ヒグチユウコさんが描いた絵画でも有名ですよね。)
237号室の幽霊のシーンは本当に背筋が凍りました。
小説とは登場人物のキャラクターもストーリーも違いますが、
見た目のグロテスクさ、独特の映像センスが光る名作ホラーです。
小説と映画の違い
登場人物のキャラクターもストーリーも違うので、映画は小説とは別物と思った方がいいかと思います。
例えば、原作のジャック・トランスは、道を踏み外しただけの、よくいる男です。
家族への愛情も持っていて、アルコール依存症から脱却しようとあがいています。
しかし、映画のジャック・トランスは、最初からどこか異常な雰囲気を漂わせています。
映画の後半に至っては、まさに狂気そのもの!!!
しかも、それを楽しんでいます。
また、ストーリーも違います。
映画では、原作にはない迷路が象徴的に使われています。
ラストで、ジャック・トランスは迷路の中で凍死しますが、彼の精神世界の隠喩として、非常に効果的です。
それから、原作ではダニーを助けに来たハロランは生還しますが、映画ではジャックに殺されてしまいます。
キューブリックの映画は、視覚、聴覚に訴える不気味さや恐怖を重視した、感覚的な作品です。
小説の方は、物語性を重視した作品です。
それぞれに独自の素晴らしさがあり、両方とも傑作です。
スティーヴン・キングは映画に批判的ですが、キューブリックの映画は映画として非常に優れた名作なので、別物としてそれぞれに楽しむのがいいと思います。
映画「シャイニング」のメインキャスト
- ジャック・トランス :ジャック・ニコルソン
- ウェンディ・トランス :シェリー・デュヴァル
- ダニー・トランス : ダニー・ロイド
- ディック・ハロラン : スキャットマン・クローザース
- スチュアート・アルマン (ホテル支配人):バリー・ネルソン
- デルバート・グレイディ(ホテルの前の管理人) : フィリップ・ストーン
- ロイド (バーテンダー): ジョー・ターケル
1997年製作TVドラマ「シャイニング」
1997年にリメイクされたTVドラマは、
絵的にもキャスティング的にも前作映画より綺麗目です。
映像的な気持ち悪さは半減し、
その分悲しさと優しさがプラスされています。
原作に近いリメイク版です。
スティーヴン・キングにも好評でした。
そして続編『ドクター スリープ』へ
『シャイニング』から36年後の主人公を描いた続編です。
『シャイニング』時点で5歳だったダニーは
『ドクター・スリープ』では41歳。
ダニーは、ホスピスで働き、
死を目前にした人々を支える仕事をしています。
『ドクター・スリープ』の紹介記事はこちらです。
『ドクター・スリープ』をいきなり読むよりは、
まず『シャイニング』を読むのがオススメです!
キングの若い頃の作品って、本当に力強さと勢いがあるんですよね。
最近の作品も良いけど、若い頃の作品は格別です。
小説『シャイニング』をオススメします。
※最後まで読んでいただきましてありがとうございました(^▽^)
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